OTO TO TABI × 札幌PARCO

インタビュー

札幌PARCOから見える風景についての学び。
いつもの街の、違う風景。

札幌市中央区、南一条通りと駅前通りが交差する地点。開拓時代からずっと札幌のメインストリートだったこの場所に、札幌PARCOはあります。この度、OTO TO TABIは札幌PARCO屋上で音楽イベントを開催するにあたって店舗を運営する方々と関わり「この場所からは、札幌の街がこう見えるんだ」という驚きを多く体験しました。そこで、私たちは「この驚きをもっとたくさんの方々に知って欲しい」と思い、今回のインタビューを企画。ご登場をお願いしたのは、今年で45周年の札幌PARCOと“同い年”であり、パルコ系列のライブハウスに勤めていたご経歴もある、山本崇店長。そして、地元のクリエイターを応援する45周年企画「SAPPORO CREATOR PROJECT」を推進してきた営業課の南佑果さんです。もともと札幌出身ではないお二人、でも、だからこそ見える札幌の風景がありました。

札幌PARCO 山本崇店長インタビュー

音楽との関わりっていうのは、
DNAレベルで強い

―本日はお時間をつくって頂きましてありがとうございます。今回は、札幌PARCOと音楽カルチャーのことを絡めて、たくさんお話をお聞きしたいです。まず大事なことといたしまして、今年は札幌PARCOが45周年ですよね。おめでとうございます。

山本店長:ありがとうございます。

―渋谷をはじめとしてPARCOの店舗は全国にたくさんあるなかで、実は札幌の店舗が渋谷の次に歴史が深く、はじめて東京以外に進出したPARCOだということですが、これって、札幌の人もほとんど知らないことだと思います。かく言う僕も、今回のイベントコラボのお話があってはじめて知った、という経緯があります。
さて、そんな札幌PARCOさんですが、45周年を迎えた2020年の今、この札幌という場所に対してどういう眼差しを向けていらっしゃいますか?

山本店長:僕の個人的な見方ですけれども、札幌の魅力は街と自然の距離がものすごく近いことですよね。それが独特で、非常に魅力的です。ちょっと郊外に行ったら自然型アウトドアもできるし、一方で中心部は都市の感覚がすごく洗練されていて、東京に近い。その絶妙なバランスっていうのが、この街の魅力だと思います。

―なるほど。それから、やはり2020年なのでどうしてもお聞きしたいんですが、今年は新型コロナウイルスの影響もあり、リアルな「場所」っていうものに対する価値観が見直されざるを得なかったと思うんです。そこで山本店長は、札幌のリアルな場所というのはこの先、どうなるという展望をお持ちですか。

山本店長:将来のことは分からないことはいっぱいあるんですけれども、一つはやはり、デジタルとリアルが融合していくんだろうなとは思うんですよね。PARCOもそういうことをどんどん進めていかなければいけないだろうし、進めていくだろうし、そういうことをしないと取り残されていくということも分かっているんです。けれども、一方で我々はリアルのショップをずっと運営してきたので、リアルの良さっていうのもあらためて発信していきたいなという思いが強い。

―素敵です。

山本店長:わざわざ来る目的というか、「同じものだから別にネットでいいや」って思うんじゃなくて、「街に行こう」「パルコでお買い物をしよう」っていうモチベーションを上げる、そういうことが重要なんじゃないかなと。それはショップの店員さんとのコミュニケーションなのかもしれないですし、今回みたいなイベントとか、そういう“わざわざ行かなきゃ得られない価値”を発信することによって街自体を活性化して、人々から「やっぱり行きたいよね」って思われていきたいですね。

―いま店長のお話のなかに、実際に行かなきゃ得られない価値、というものがありましたが、その最たるものが生の音楽だと思うんです。
僕も札幌で育ったのでPARCOという店舗の存在は昔から知っていたんですけれども、やっぱり最初は「服を買いに来るところ」という印象だったんですね。でも本当の原点…それこそ渋谷PARCOが始まったところから歴史を紐解けば、PARCOと音楽カルチャーの結びつきっていうのは非常に強いと思うんです。

山本店長:はい。

―それで、ここからは店長のご経歴も絡めてお聞きしたいんですけれども、PARCOと音楽の結びつきについて、札幌の音楽好きの皆さんに知っていただきたいことがあれば是非教えてください。

山本店長:そもそもPARCOはファッションビルという捉えられ方をすることが非常に多いんですけれども、ただ我々自身はどちらかと言うと、「街の中で情報を発信していく施設」という、その中の一つとしてファッションというのを捉えているので、ただ単にお洋服を売っている場所とは考えていないんです。
そういう装置として一番大きな機能を持っているのは渋谷のPARCOです。渋谷のクラブクアトロというライブハウスを持っていて私も若い頃はそこで仕事をしていましたし、あとは映画館や劇場、ギャラリーを持っていたりします。
PARCOという会社自体が都市の中で「エンタメ」「アート」「カルチャー」の発信基地でありたいし、そうあるべきだと思っているので、そういった意味では音楽との関わりっていうのはDNAレベルで強いのかな、っていうのはあります。

―では最後に、45周年を迎えて、DNAレベルで切り離せない音楽のイベントを、2020年の屋上で開催することについて、お言葉をいただければなと思います。

山本店長:そうですね、やはり元々カルチャーへの意識が強いPARCOであって、さらに新型コロナウイルスの影響があってそれがより見直しされている局面だと思うのと、一方で…いま音楽業界を取り巻いている状況はかなり厳しいものがあるじゃないですか。

―はい。

山本店長:我々はそういう装置を元々持っているわけではないんですけれども、屋上はたまたまそういうことができるキャパシティもあって、そういった意味では我々がやりたいこととすごく合致したって言うんですかね、音楽業界さんも発信していかないといけないというもどかしさがあると思うので。
あとは、OTO TO TABIさんのコアなラインナップですね。PARCOにはサブカルテイストがあるので、コンテンツ面でもお互いイメージが合致するところがあってこういうイベントができるっていうのは、いいのかなと思います。

―その言葉をいただいて、我々は頑張りたいと思います。本日は有り難うございました。

札幌PARCO営業課 南佑果さんインタビュー

東京にいた時は
アートとかカルチャーと自分が、
すごく遠いように感じていて

―ではここからは、営業課の南さんにお話を伺っていきたいと思います。南さんは普段、どういったお仕事をされていますか?

南さん:私は札幌出身ではなくて、こっちに来てから3年目になります。仕事としてはイベントなどの催事、あとは担当しているフロアのテナントさんといろいろお話をしたりだとか、ホームページの管理だったり、そういったことを主にしております。

―そして45周年の今年、南さんは札幌で活動するクリエイターを応援する「SAPPORO CREATOR PROJECT」をずっと進めてこられたと思うんですけれども、このプロジェクトをやろうと思った経緯ですとか、企画に対する思いといったものを少しお話しいただけますか?

南さん:私は結構ニッチなものが好きで、たまたま同じものが好きな人と出会ったりするとすごく嬉しかったり、その良さを「広めたい」っていう気持ちが学生の頃からあって、PARCOに入る時にも、そういう素晴らしいことを見つけて発信して「好きな人たち同士が繋がって欲しい」っていう気持ちがすごくあったので「そういうことをしたいな」というのはずっと思っていたんです。 今年、45周年になるにあたっては、札幌の街で、地元のクリエイターさん達が頑張っていることをピックアップしていろんな人に知って欲しい――「そういう機会を作りたいな」っていうのがありました。

―僕が素敵だなと思ったのは、難しいことも多いこの時代を捉えつつ、でもクリエイティブな場所を作ろうとしていらっしゃるな、っていうのを感じられたことです。例えばプロジェクト第一弾の『紙袋再生プロジェクト』はレジ袋が有料化になった事を受けてのカルチャーとしてのアンサーだったと思いますし、プロジェクト第二弾の屋上を使っての映画上映会『PARCO TOP CINEMA 2020』は、新型コロナウイルスの影響によって簡単には人が集まれなくなったということに対する「屋上を使って上映会ができるよ」っていうアンサーだったなと。そういう取り組みが本当に素敵だなと思いながら見ていました。
その「SAPPORO CREATOR PROJECT」はこのインタビューの時点で3つの企画が一段落していらっしゃると思うんですけれども、南さんは現在、どういったお気持ちでいらっしゃいますか?

南さん:やっぱりこういう状況になってしまって、なかなか「こうしたい」というのがいろんな条件でできない…特に、人を集めてイベントで盛り上がりを作るということができない中で、クリエイターの方々とお話ししながら「こういう形だったらできるんじゃないか」とか、そういうアイデアを出していただきながら工夫して、熱量を注いでいただけたので、形になってすごく嬉しかったという感じです。

―そういう舞台があるって言うのが嬉しいですよね。「もしかしたら自分もあそこに立てるかもしれない」みたいな夢があると、活動するクリエイターにとっても、その街に住む意気込みと言うか、気合いが変わってくると思います。
そして、その「SAPPORO CREATOR PROJECT」の企画のひとつとして、ありがたいことに我々OTO TO TABIにもお話を頂いたわけですけども、南さんが札幌PARCOの屋上でイベントを最初にやろうと思ったきっかけを教えてください。

南さん:わりと他の地域のPARCOでは屋上でヨガをしたり映画上映会をやっている店舗もあるんですけど、札幌PARCOは私が知らないだけかもしれないんですけれども映画上映とかを開催した痕跡がなくて「物理的にできないのかな」って思ったんです。けど自分で見に行った時に「大丈夫じゃないか」って思ったのと、テレビ塔が見えたり、山が見えたり、ノルベサの観覧車が見られたりと景観がすごく良くて、「すごく勿体ない」って思ったんです。
私はすごく映画が好きなので、どうにか一緒にできる人いないかっていうのを探して、キノマドさん(※『PARCO TOP CINEMA 2020』のクリエイター)とお会いして、動き出して…という感じです。

―音楽イベントをやりたいなっていうイメージはいつ頃からあったんですか?

南さん:そうですね…音楽も、自分は詳しいという程ではないんですが、聴くのはすごく好きで。ウチの柱の部分として“アート”と“音楽”と“映画”と“劇場”っていうのがあるので、一個ずつやりたいなっていう密かなテーマがありまして、それで次は音楽じゃないかと思ったんです。
OTO TO TABIさんのことは結構前から知っていたんですけれども、お声掛けをどうしようかなーと悩んでいて、この「45周年」というところで勢いをつけてお話をしたという感じです。

―ありがとうございます。では最後になりますが、札幌に来られて3年目の南さんは、いま札幌という街をどんなふうに見ていますか?

南さん:私はもうずっと東京だったので、東京にいた時はアートとかカルチャーと自分がすごく遠いように感じていて、中に入ってクリエイターの人と一緒にやるっていう感覚が無かったんです。それで札幌へ出てきた時に、もう飲み屋さんとかに行ったら「絵を書いています!」みたいな人と会ったりだとかそういうのがあって、距離がすごく近いなっていうのが大きい印象でした。 東京に行って活躍している人と、地元にこだわっている人と二つ道があって、その違い…みたいなところもすごく興味深いと思いますし、これからも色々一緒にやっていけたらいいなというのは感じています。

―これからも、多くの人が立つ舞台としての札幌PARCOを見て行きたいなと思います。

南さん:これからもそういう場を作っていきたいなと思います。