ビジュアルの世界観とデザイン。

女の子が目を惹く今年のビジュアル。
制作についての過程や考えを
アートディレクターを務める川畑拓也さんに訊く

ーどのようにビジュアルを考えているのですか?

毎年なにかしらテーマ・コンセプトを決めて、ポスターやWEBなどの広告ビジュアルや、会場装飾の方向性を考えています。例年は冬の音楽フェスに合うキーとなるモチーフを決めて、それをどういうカタチにするか、展開していくかという作り方だったのですが、今年はひとつの物語になるコンセプトを設定し、その世界観をどんどん詰めていき、ビジュアルに落とし込むという作業をしています。

具体的には「ボーイ・ミーツ・雪ガール」というまずひとつのストーリを作りました。その一瞬を切り取り、ビジュアルの写真にしているのですが、その大まかなあらすじは、「街に降りてきた雪女と男の子が出会うけれども別れ、雪女は山に帰ってしまう。男の子はそれを追いかけていき、森を抜けた先には雪女の村があって、そこでは年に一度のお祭りが開かれていた。」というものなんですが、設定を詰めるために、短編小説くらいの話を作り、セリフも背景も登場人物の細かい設定まで決めています。

ーなぜそこまで設定を決めたのですか?

ここまで設定を考えたのは今年が初めてで、クラムボンのミトさんが、昨年出したアルバムについて語っている記事を読み、自身の問題点やそれを踏まえてどのように作っていったかが話されていて、そこで言われていることが結構おととたびと重なるなと感じるものがあったんです。じゃあ同じ課題と方法をおととたびにも与えてみるとどうなるか?から今年のビジュアルをどう作るかが始まりました。もともとポスターなどのビジュアルだけではなく、会場作りなども考えて作っていくので、いろいろなものに耐えれる強度が必要だと感じ、見た目からではなくその後ろにある設定を作った上で展開していきました。

ーなぜ写真を使ったのですか?

写真は直接的なメッセージが強くなりがちなのですが、あまり情報が入らないようにそぎ落としつつ、ポーズや表情を出すことによって世界観を表現できるんじゃないかと思ったからです。
また、個人的にklee*1というバンドのPV制作*2に携わることがあり、そこで一緒に制作したモデルさん、ヘアメイクさん、スタイリストさんが今回のビジュアルを制作するのにも相応しいと思い、声をかけました。カメラマンは毎年OTO TO TABIのライブ写真を撮ってくれているYURIさんです。

ー会場装飾の方向性はどのように考えているのですか?

土台のコンセプトに沿って、じゃあその世界の村で行われるお祭りってどんな感じなんだろうか?という考えをベースに、おととたびの装飾や会場作りもしていいます。ビジュアル含め雰囲気や飾られているアイテムなども、Candle MOTHERさん・こんのあきひとさん・jobin.さん・豆電社さんの手によるものなので、是非見て楽しんで頂きたいです。


*1:klee:http://musi-klee.com/
*2:「curtain call 」(You Tube)

OTO TO TABI 2016 ビジュアル

Art Direction&Design:Takuya Kawahata
Photo:YURI
Styling:Hakone Inoue(Tumblr:inouehakone
Make-up:Chiharu Wakabayashi
Model:Kimayu(instagram.com/_kimayu

プロフィール

川畑拓也

WEB&グラフィックデザイナー。札幌の制作会社IMPROVIDEを経てフリーランスとして東京-札幌を拠点に活動中。