OTO TO TABI DAY
トークセッション
-前編-

TALK

2018/2/9 up

1月27日(土)チ・カ・ホ 北大通交差点広場(東)にて、OTO TO TABI DAYが開催されました。その中でSAPPORO YUKITERRACEコーディネーター今村育子さん、ICE STAR HOTEL広報PRディレクター小林正典さん、ゆきんこステージを制作したEarth Friends Camp(EFC)絹張龍平さんと、おととたびから運営メンバー1名を合わせた4名で「雪で企てる」をテーマに、各イベントの紹介や質問をしあうというトークセッションが行われました。

Phase1 - 登壇者→OTO TO TABIへの質問

さっぽろユキテラス コーディネーター今村育子(以下今村):運営の皆様を駆り立ててるものってなんですか?凄く良いイベントなので気になりました。

ー最初の頃からちょとずつ変わってきてるんですが、まず最初は”音楽イベントを自分たちでやってみよう”っていうところがモチベーションでした。それから”イベントを大きくしたい”になり、大きくしたら、「やってみたら出来た」という達成感と、いろいろな方から「良いイベントだよね」と言ってもらえたことや、いろんな方と一緒に協力しながらつくるっていうのがモチベーションになったりしました。最初は友達を集めてやっていたのですが、2014年にイベントが大きくなるタイミングで、ボランティアスタッフさんの募集をしました。その頃から自分たちの周りの人以外と協力してつくっていくというのも楽しくなり、それに支えられてるのかなと思ってます。

ICE STAR HOTEL広報PRディレクター小林正典(以下小林):アイススターホテルは今回で5回目なんですが、OTO TO TABIは2011年からですよね?ちょうど3年目の時、僕らもいろんなことがあり、1年目、2年目の時はまずやってみよう、自分たちのやりたい事をやろう、という気持ちと勢いで出来ていたんですが、3年目は、利益を生み出さないといけない、そうなると新しいコンテンツを探らなきゃいけない、もっと違う人材が必要になるんじゃないか?などいろいろな壁にぶち当たりました。OTO TO TABIでこれが一番大変だったなってことがあれば教えてください。

ー一番大変だったというか、いまもそうなんですけど、利益を生み出せていないことがずっとぶち当たってる壁ですね。あとは、やりたいアイディアがあっても自分たちだけでは出来ない時、それを実現できそうな新しい人を探すこと。昨年EFCさんに野外ステージの制作をお願いしましたが、そもそも僕らは野外ステージを作ったことがなかったのと、誰かに仕事を振るということにも慣れてなかったので、ほぼ丸投げになってしまって。実際それでなんとかなったのですが、大変だったことの1つでした。

小林:ちなみに僕は39歳なんですけど皆さんおいくつなのでしょうか?ちょうどアイスホテルをやり始めたのが35歳の頃なので気になりました。

ー僕は33です。

小林:ということは20代の頃からこういうことを立ち上げてやってみたということですか?そのチャレンジというのはこれからの人生の中で必ず活きていくことだと思いますし、40代、50代、ディレクター、プロデューサーの立場になった時、20代の子たちが好きなことをやりたいと言った時に、良い経験になるんだろうなと思います。そして単純に何歳なのかが気になって聞いてみました(笑)。

Earth Friends Camp(EFC)絹張龍平(以下絹張):丸投げされた絹張です(笑)前回EFCでゆきんこステージを制作して、会場も冬に行う意味も広がったと思うのですが、今回もっと広げようという試みはあるんですか?

ー会場の話になると、昨年はお客さんが休めるスペースが少なかったという意見もあったので、そこを広げる計画はあります。それ以外でおもしろいコンテンツなどはEFCさんと一緒に広げていきたいなって思ってます(笑)。

絹張:ありがとうございます(笑)。

Phase2 - さっぽろユキテラスについて

今村:札幌駅前通りまちづくり会社の今村と申します。よろしくおねがいします。さっぽろユキテラスは、うちの会社が管理している北3条広場が出来た時、冬の取り組みを何か作りたい思っていたり、その時に札幌市さんからもメディアアートのイベントをやりたいという意見があったり、そういうタイミングが合うことが他にも多くあって、いろんな周りの方々に支えてもらいながらこのイベントが生まれました。
1年目は、冬のイベントだからキーワードとしては雪だよね、雪を眺めるというシンプルな構想はどうだろう?と弊社の白鳥がアイデアを出し、サウンドアートをやられてる大黒さんにプランを出してもらいました。これは五芒星をモチーフにして雪にサーチライトを当てて眺めるという作品と、IT技術を使った、冬を掘ったり、高さが変わったりすると画像が変わるという2つの仕掛けをやりました。

今村:観光客の方、地元の方たちに雪を見て頂いて「綺麗だね」と言って頂いたんですけど、このイベントは光を使うので夜しか出来ないという弱点があったんですよね。それで2年目は弱点をクリアして昼間から夜まで一日中楽しめるイベントにできないかと考えました。どういった仕掛けや室内空間を作れば昼間も映像を投影できるかを考えた結果、かまくらの中で作品を体験して頂くということを考えました。
かまくらの中にも作品があり、外にも光を投影したりと、中も外も作品を楽しめるようになっています。
寒い中でワークショップをやってみたり、北海道内、国内外のアーティストに携わってもらいましたが、雪の捉え方がそれぞれ違っていておもしろかったです。水内さんの雪に直接スプレーをかけている作品があるんですが、普通塗料って乾くと光度がなくなっていくんですけど、雪って湿っているから輝き続けるというあたらしい気づきがありました。
この年から海外のアーティストを招聘するというプログラムも増えて、ユネスコ創造都市ネットワークで繋がっているフランス アンギャン・レ・バンのアーティストを招聘しました。

今村:3年目の2017年は、氷のレコードがありました。八木さんは元から氷のレコードを作っていた方で、レコードの型を作ってそこに水を入れて凍らすと氷のレコードが出来るんです。しかも再生するとちゃんと音楽が鳴るんですよね。ここの環境で氷をつくったんですけど、気温が上がったり下がった難しくて毎回同じ音は出なかったりで、上手くいかない日もあったんですけど、この場所ならではの作品展開になっていったのかなって思います。この年もかまくらの中で発表していただくというかたちでやっていきました。この年からイルミネーションを大々的に始めたので、イルミネーションを楽しんで頂きながら中の作品も楽しんで頂くというものになっております。今年は2月3日土曜日から2月11日日曜日までの間にSAPPORO YUKITERRACE 2018を開催します。今年の参加作家さんは会田大也さん、ドマス・シュヴァルツさん、リザ・マリア・ビッケルさん、渡辺望さんの4名の方になります。今年はかまくらではなく大きな雪山を作って、その上や中などに作品を展示して、体感もできるようにしていこうと思っています。是非あそびにきていただければと思います。

Phase3 - 登壇者→さっぽろユキテラスへの質問

小林:実はアカプラの敷地内で、赤れんが側が雪テラスさんで、駅前通り側半分を我々が担当して赤れんがアイスクラスというイベントでアイスバーをやったんですけど、これはキロロにあるアイスホテルを札幌の街中に持ってくるサテライトっていう考え方でやっていて、雪と対照的に考えて、氷の凄くいいところを皆さんに見てもらいたいなと思い、それで高さ2メートル幅10メートルくらいのアイスウォールいわゆる氷の壁を作り、良いマリアージュが出来そうだなと勝手に思っていました。
今、過去3年のを聞かせてもらって、本当にアートという部分の刺さり方が凄く良いなと感じました。雪とアート。僕らアイスホテルもただの氷の建物っていうことではなく、それだと全道各地にもありますし、トマムさんのものや、北見の氷瀑まつりとか、色んなものがある中で、アイスホテルの違う点は、氷にアートを入れたんですね。これは苦労話になってくるんですけど(笑)、どうしても作家さんやアーティストの方達は自分たちの世界観を強く持っていますよね。氷を作るこちらは、自然相手なのでどうしても限界が出てきてしまうんですが、そうなった時に落とし所はどのように探っているのかお聞ききしたいです。

今村:落とし所はいつも悩ましいのですが、最初に出来ないところは全部伝えて、寒いし、これしか出来ないし、厳しい条件だけど何かアイデア貰えませんか?先にこちらのことを伝えるようにしています。それでも面白がってくれる方とやっていきます。作家さんたち皆さんが全員雪に直接アプローチするわけではないですし、メディアアートは電気を使いますし、雪と電気って相性が良くないので、「光」という風に解釈を拡大して、テクニカルというよりはもうちょっとシンプルに拡大し、みんながフレキシブルに関われるような仕組みにしたいなと思っています。

絹張:メディアアートって何ですか?

今村:私たちはメディアートの専門家でないので細かい概念にこだわるのであれば、メディアアートを研究しているキュレータをよんで企画してもらうのがいいんですが、そこまで縛り付けてやると札幌駅前通活性化委員会という集合体でやっている意味がなくなっちゃうので、そこはなるべく解釈を広げて、多くの人、多くの作品に関わってもらって、多くの表現が入り込めるような仕組みにしたいと思ってやっています。

絹張:ゆきんこステージでもメディアアートっぽいことを取り入れたいなって思っていて、映像を見させてもらって、僕たちがやりたいことってメディアアートなのかなって思いました。

今村:へー!どんなことをやりたいのですか?

絹張:SNSとイルミネーションを連動させるみたいな感じです。

今村:なるほど。そういうのはメディアアートと呼べるんじゃないんですかね?

ー僕たちはアーティストの方たちをお呼びしてステージで演奏してもらうというのがほとんどですが、ユキテラスはメディアアーティストの方達と一緒にオリジナルなものを生み出してる印象があって、めちゃくちゃ良いなって思いました。普段雪と全然関係ない作品を作っている人と上手くマッチした作品とかエピソードがあればお聞きしたいです。

今村:マッチするっていうのは毎回難しいですね。先程お話しした塗料を壁面に付けてスプレーした水内さんは、実際にやってみて雪の特徴に気づいて、最初は小さかったけどだんだん大きくしていって変わっていったりなど、現地で発見して展開していってくれました。
作品をある程度知っていたり、オファーする前にこの場所で出来そうな人か下調べをして、その上で作品を指定する場合もありますし、自由にやってもらう作家さんもいます。オファーするのは、雪の中だったり公共空間だったりと、いろいろなことにすごく気を使うし難しくて、毎回苦労しています。でもオーダー以上の表現で私たちの解釈を広げてくれるアーティストばかりで、いつもワクワクしています。

(後編に続きます!)

登壇者

今村 育子

SAPPORO YUKITERRACEコーディネーター/アーティスト

小林正典

ICE STAR HOTEL & REATAURANT,KIRORO広報PRディレクター/株式会社I-PRO執行役員営業企画部長

絹張 龍平

Earth Friends Camp/ゆきんこステージ企画・制作

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