小さな、見過ごされてしまうような声や想いを音楽ですくい上げる、優しさに満ちた人。
七尾旅人さんのライブは、何度観ても毎回違っていて、その場でどんな人たちが聴いているのか目を凝らし、耳をすませ、ステージを組み立てていっているのがとても印象的です。
昨年赤平で行われた「AKABIRA CAMP BREAK」では、雨でお客さんだけが濡れているのが落ち着かないと、最後には完全アンプラグドで池のなかから歌ったり、この春のツアーでは札幌出身の瀬尾高志さんとのデュオで、最新アルバムの全曲を全身全霊で演奏し、翌日に蘭越で行われたイベント「ART PICNIC VOL.2」では、かつて『スキーの歌』を一緒に作った草一郎くんとのステージや、その日のために用意された曲、そして会場からのリクエストにこたえる場面もあったり。
昨年の「森、道、市場」や「フジロック」ではバンド編成で出演していて、「ずっと憧れていた」というバンドセットも非常に楽しそうで満ち足りたライブでした。
私たちの企画には2011年の初回のOTO TO TABIから何度も出演いただき、コロナ禍で初めて企画した2020年の「OTO TO TABI × 札幌PARCO」には、会場の屋上を意識して制作された楽曲『Wonderful Life』を用意してきてくださいました。誰もがきっと大変だったこの3年を経て、いまの旅人さんの目にうつる世界が歌で表現されること、それは決して楽しいこと・温かいものだけではないはずですが、その世界に触れられることがとても楽しみです。また、今回はソロでの出演なので、より自由に会場全体と紡ぎ上げていくものがあるはずで、自分もその一部となって体感したいです。
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Photo by asako yoshikawa / 繁野潤哉 / minaco.